2016年上半期ベストアルバム
2016年上半期の新譜で"僕のココロのトビラをノックした"50枚をちょっとしたコメントと共につらつら並べていこうと思います。お時間あればしばしお付き合いください。(youtubeやsoundcloud等のリンクは貼っておりません。あしからず…)
50 Raime / Tooth
あまりにも印象的なジャケットの前作を中古レコ屋で偶然見つけてからその暗黒重低音の虜になっていたRaimeの2nd。闇堕ちしたMassive Attackのようなサウンドが不穏にカッコいい。
49 Ωracles / Bedroom Eyes
飲み口爽やか清涼剤みたいなベルリンの現代っ子ソフトサイケデリアバンド。不快な音は全排除って感じでストレス皆無好感度急上昇。
48 Death in Vegas / Transmission
ケネス・アンガーの実験映画名作と同名のアルバム以来久しぶりに(その間の作品は聴いていない)Death in Vegasを聴いた感想は"無"だった。右耳から左耳へ素通りしていくメタルチックなミニマル音楽…でもこのクセになりそな妙な余韻はなんだ!?その正体を確かめるべく我々調査隊はまた再生ボタンを押した…(そして"無と妙な余韻"のメビウスの輪の中へ)
47 Prurient / Unknown Rains
美ダークで美インダストリアルなノイズ/ドローンがカッコいいPrurient新作。適度なボリュームなので気分転換ノイズ(そんなものはない)にピッタリ!駅弁みたいな包みがイカしてるフィジカルカセット欲しい…
46 Three Trapped Tigers / Silent Earthling
これライブで見たら絶対最高なやつでしょ、って感じのUKインストバンドTTTの5年ぶり2ndフル。クールにツボを突きまくるリズムがたまらないエレクトロマスロック。
45 Del Sur / Eating in Bed
めっちゃ夏が似合わなそうなインディナードが作る夏っぽい音大好きなんでDel Surのチル寄りなサーフロックは「夏(クーラーの効いた室内)」みたいな感じでサイコー。
44 Dessin Bizarre / Echo
冬の終わりから春の始まりの間の"寒さと暖かさの境目"な空気感を纏わせた心地よいアンビエントアルバム。寝る前に、読書中に、静かなところで穏やかに。
43 Arms / Blackout
血が沸騰する激烈マスコアバンド。初期The Dillinger Escape Planのよう。アルバム通して脇目も振らず一直線に突き抜けていく様は見事。
42 Snowball Ⅱ / ?
ラウドなギターで夢見心地、とろけそうな程シューゲイズなSnowball Ⅱの1st。マジで検索しにくいバンド名とアルバムタイトルはご愛嬌。
41 M.Ward / More Rain
「私もスミス好きよ」女子との活動も好きだけどやはりソロの方が断然良いM.Ward。Little Baby→I'm Going Higherの流れでいつもトロける。
40 Chance the Rapper / Coloring Book
アルバム通してソウルフルかつメロウでゆるっと聴けるセンスの良さに思わず脱帽なChance the Rapperのミックステープ。3作目だからって""3""って付いてる帽子かぶるのなんか可愛いよね。
39 Big Thief / Mastarpiece
Bright EyesやCursiveでおなじみ、信頼と安心のサドルクリークからまた最高なバンドが。Neil Youngを思わせる"正しいUSロック"の匂い、憂いを帯びた女性ボーカル。良くないわけがない。
38 Nite Jewel / Liquid Cool
不思議の国のNite Jewel第3部ついに開幕。ねっとり絡みつく怪しげでクールなエレクトロサウンドに三半規管を揺さぶられ、脳に直接響く彼女の声が快楽中枢を刺激してLiquid Cool中毒患者の出来上がり。
37 The Mercury Program / New Myths
各楽器の音の鳴りがとにかく心地よいUSインストバンドの新EP。しっかりポストロックしつつもあくまで足取り軽やか風通しの良い流れにウットリ。全6曲ながら各曲がしっかり練られていてフルアルバム並みの満足度感!
36 Greys / Outer Heaven
その年の"トレンド"とかそういうの関係なくバンドが一体となって突っ走るゴリゴリのオルタナロックはどんな時でもカッコいいと思っちゃう体質なもので✋🏻(それが今年はGreysだったってだけの話)
35 Frankie Cosmos / Next Thing + Fit Me In
ユルユルなくせに短い1曲の中にしっかり引っかかる部分を作っちゃう、メディア絶賛も納得の1枚。「Too Dark」クセになりますねぇ。
34 Radiohead / A Moon Shaped Pool
「Ture Love Waits」終わった後の虚無感に耐え切れずまた1曲目から再生してしまう"罠"にまんまと掛かっている…今のRadioheadが(万に一つの可能性もないと承知の上で)「Anyone Can Play Guitar」みたいな"分かりやすい"ロック曲をまた作ってくれたら信じられないくらいカッコいいと思うんだけどどうだろう。
33 A Giant Dog / Pile
『ロックは勢い、でも曲の芯の部分はあくまでポップに』ってスローガンでも掲げてそうなハッピーなガレージロックンロール!とくにアルバム中盤の多彩な曲で畳み掛ける展開にノックアウト。品質保証ナンバー1のMergeからリリース。
32 Aluk Todolo / Voix
疾走感溢れる轟音でトランス。フランス産のドローン+クラウトロックサウンドで聴覚がオーバーヒート法悦状態ガンギマリ機能搭載。
31 Niechęć / ︎Niechęć
ジャズ好きもポストロック好きもオルタナ好きもみんな寄っといでってな具合の傑作。北欧ジャズシーンは今も昔も変わらずアツい。
30 Kim Brown / Wisdom Is a Dancer
アルバム通してメロディアスな曲が淀みなく流れるベルリンのハウスディオ新作。フロアでもお部屋でも、快適空間をあなたに。
29 The Body / No One Deserves Happiness
Full of Hellとの共演盤もなかなかだったThe Bodyの美しき異形の音楽。暗闇の中爆音で恍惚と、(人によっては)耳浄化作用抜群。
28 Spissy / Spissy
爽やかなのにほろ苦いネオアコの舞が炸裂。先行曲「Her Heart」のアウトロにムーディーなサックス入れちゃうあたり背伸びしてるみたいで好き。
27 Suede / Night Thoughts
26 James Blake / The Colour in Anything
まさしくModern Soul…童貞顔から普通のイケメンに成長したJBの新作はあまりの深度に少し息苦しさを感じるほど。今年のフジロックが楽しみ。(Lee "Scratch" Perryと被ったらそっち見るけどな)
25 LSD and the Search for God / Heaven is a Place
初期VerveのようなズブズブサイケなUSバンドの9年ぶりEP。全曲(どっかで聴いたことあるような)メロディも微妙にショボい感じも親しみがあってお気に入り。ぜひフルアルバムのリリースを!
24 $$$TAG$$$ / Crowd Surfing
エジプトのTag Moneyによる硬派かつめちゃくちゃ踊れるスペーシー地下テクノの傑作。こういうのを真夜中の野外で聴きたいんだよな。
23 Kikagaku Moyo / House in the Tall Grass
22 Iamthemorning / Lighthouse
ロシアのチェンバー/プログレバンドの新作は息を呑むような美しさ。物悲しさが漂うクラシカルな音像は素晴らしいの一言。Marjana Semkina嬢の声は凛としつつも可愛さがあってベリーキュート。
21 The high Llamas / Here Come The Rattling Trees
The High Llamasの音楽のゆったりとした時間の流れが心底好きだ。『Beet,Maize & Corn』以降の路線を継続しつつ音は『Cold and Bouncy』あたりのふんわり浮遊感を取り戻している。"音楽に疲れた耳"を優しく癒してくれるリラクゼーション27分コース。
20 Nada Surf / You Know Who You Are
ここ10年のナダサーフにハズレなし。今作もグッドメロディの宝庫。今作聴き終えたら旧作聴き直したくなるしそしたら再度今作聴きたくなるしそしたらまた旧作そしたら今作旧作今作旧作…
19 Bob Dylan / Fallen Angels
前作に続きスタンダードナンバーカバーアルバム。近年のオリジナル作のスウィートな曲(アルバム収録曲の"偶数曲"に多い)が大好きな自分としては大歓迎なメロウさ。ディランのアメリカ音楽史を振り返る旅はまだまだ続く…
18 Gnod / Mirror
17 Space Raft / Rubicon
パワーポップにサイケをひと匙でクセになる旨味。どことなくSFチックな浮遊感を感じさせる胸キュンサウンド!いちいちこっちの"ツボ"を突いてくる試合巧者ぶりに感心。
16 Cloud Becomes Your Hand / Rest in Fleas
イカれた遊園地みたいな音が楽しいブルックリンの狂騒的アート/エクスペリメンタルロックバンドCBYHの新作。奇妙で複雑な楽曲展開も踊れるポップにまとめ上げていて見事。
15 Nuns / Albeit Tomorrow
オルタナ度100%なNunsの1stフル。比較対象がAnimal Collectiveってなるほどね。「Quinto」って踊り狂わされてしまった👏🏻
14 Andy Shauf / The Party
名門ANTIもほっとけなかった、各方面から大絶賛の嵐フィーバー確変中なソングライター。日曜のお昼〜黄昏どきに公園で愛犬の散歩しながら休日の終わりを名残惜しみつつしんみり聴きたい。
13 Kalan Ya Heidi / kemuri
聴き手に寄り添うでもなく、かと言って突き放すわけでもない天性のバランス感覚を備えた福岡のグループが作り出した素敵なポップ万華鏡。「磁気のあらし」にはビートルズとの予期せぬ出会いが。
12 Ital Tek / Hollowed
今年もPlanet Muは絶好調!Ital Tekの新作は神々しさすら漂う珠玉の電子音楽。(同じレーベルのVenetian Snares『Traditional Synthesizer Music』もオススメ)
11 Belker / Geen Toerist Meer (cassette editie)
うっとりするよな白昼夢感。The Beach Boys〜The High Llamasの雰囲気がほどよく漂うソフトでポップでドリーミーでどこまでも心地よい素敵音楽集。
10 Weezer / Weezer (White Album)
安定して全曲良い、間違いなく充実期に入っているなと感じるキャリア屈指の良盤。今作の『力強くも程よくリラックスしたWeezer節』の数々に思わず笑顔。
9 Moe and Ghosts × 空間現代 / Rap Phenomenon
"冷凍都市の暮らし"的鋭利で複雑なファンクサウンドで体を揺らし萌のイカしたラップでクールな高揚感を味わえるベストコラボレーションな最高にカッコいいアルバム。
8 Oranssi Pazuzu / Värähtelijä
7 Western Skies Motel / Settlers
6 Lushlife & CSLSX / Ritualize
前作『Plateau Vision』でハマりまくって個人的にすごい楽しみにしていたLushlifeの新譜はAriel Pink、Killer Mike(Run the Jewels)、今年リリースのアルバムも良かったRJD2などが参加と俺得要素てんこ盛り。
5 Andy Stott / Too Many Voices
先行曲の時点でゾワゾワきてたけどアルバム通して聴くと繊細かつ奇妙な歪みっぷりがキマってるAndy Stottの新作。毎回モノトーンで統一してくる"普通の写真なのにすごく変に見える"ジャケも素敵。(こんなのが上位になっちゃうあたり自分の性格の暗さが表れてて落ち込みますね)
4 Carl Eaton / Rise
きっとこれを「70年代にひっそりリリースされた知る人ぞ知る隠れた名盤」って紹介されてもすんなり信じてしまうくらい"シンガーソングライター黄金期名盤群"の香り。なんとなくElvis Costelloっぽく聴こえる声もたまんない。あの頃の音楽に胸ときめいていた人も、そうでない人もぜひ。
3 Graham Nash / This Path Tonight
CSNYの"N"ことGraham Nash14年ぶりのアルバム。なんせロックレジェンド群雄割拠の時代の生き証人である。熟成させたワインのように人を酔わせ、ロックの秘孔を突きまくる匠の技を堪能。
2 Subtle Control / Vol.02
井上陽介氏の作る音楽には日本語詞より英語詞の方が合うと個人的には思っているので、昨年出たTurntable Filmsの『Small Town Talk』もかなり聴き込んだがこのソロアルバムの方がより心に沁みる。また長く愛聴出来そうな良盤。
1 Mutual Benefit / Skip a Sinking Stone
いったいどんな人生を歩んだらこんな美しい音楽が作れるんだ……控えめだけど流麗な音空間にささやかな幸せを感じる。ほんのひと時でも世の中の煩わしい事は忘れて、Mutual Benefitの音を肴に一献。
おまけで上半期ベストシングルは
Ethan Burns / Homeward
以上です。まだ6月中に発売予定のアルバムで楽しみにしてるもの(DJ ShadowとかThe Explorers Clubとか…)残ってますがとりあえずこれで一区切りで。
それではまた!下半期ベストもやれるといいな、と思います(ぺこり)