2017年ベストアルバム

2017年の大好きなアルバムです。

 

 

35. Tribalistas - Tribalistas

 

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日々の生活は単調に過ぎ、気づけば月日は流れ前作から15年も経っていたが久しぶりに再会した"3人の音楽"は変わらず軽やかに跳ね優雅に流れていた。凛としたマリーザ・モンチの声が素晴らしい。

 

 

34. Haco - Qoosui

 

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SUGAI KENやVisible Cloaksが目の覚めるような作品をリリースした2017年は歴史的なアンビエントイヤーだったわけだが、薄い靄に覆われたこの作品もまた今年を彩る"静寂の音楽"の輪の中のひとつであり、名著『NEW AGE MUSIC DISC GUIDE』にも取り上げられた逸品である。

 

 

33. Alan Vega - It

 

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昨年惜しくも亡くなった偉大なパンクロッカー最期の作品。しかし遺作とは思えない程凶悪に歪みブッとんでおり、長年この道を歩み続けたものだけが辿り着ける境地を強烈に印象づけた。

 

 

32. Jinsang - confessions

 

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ゆるく鼓膜から身体を通り過ぎていくメロウでジャジーなヒップホップ。 2017年の眠れぬ夜、わたしは幾度となくライブストリーミングのLofi Hip Hop Radio 24/7にチャンネルを合わせ心地よいビートに身を任せつつShazamを繰り返した。

 

 

31. Mac Demarco - This Old Dog

 

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この人の資質である"陽気なメロディー+能天気な緩さ=力が抜けきった適当インディーポップ"は、日々の仕事にかかる重圧に耐え続ける現代人にとってもはや救いですらある(とか適当な事を言ってみる)。

 

 

30. Converge - The Dusk In Us

 

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いまだに立ち止まる事なくヒステリックに爆進していくカオティックハードコアの皇帝。キャリアの長さ故さすがにもう驚くようなことはないが、安定の爆殺力と頂点を極めた無秩序。

 

 

29. STORM OF VOID - War Inside You

 

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ヘヴィロックファンを決して裏切らない重さ、ただ力強いだけに終始しない知的さ。マーク"バーニー"グリーンウェイ(ナパーム・デス)とJ・ロビンスというゲストボーカルセレクトの絶妙さ。時に猛り時にシャープに、最後まで途切れない緊張感。これがわたしたちが待ち続けたStorm of Voidである。

 

 

28. The Hempolics - KISS,Cuddle & Torture Volume 1

 

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ヒップホップ以降の感性を持ちつつも骨の髄までレゲエに浸かり、紫の煙をゆるくぶっとくダビーに吐き出す。古くて新しい、ルーツレゲエと現代的ブラックミュージックの幸福な邂逅。

 

 

27. Alessandro Cortini - AVANTI

 

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冬の日の灰色で美しい風景のサウンドトラック。暖かいドローンと優しいアンビエンスが融和する静かな時間。トレント・レズナーの良き協力者であるシンセサイザー奏者が作り出した極上の空間。

 

 

26. Amenra - Mass Ⅵ

 

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暗黒、鬱鬱、悲鳴…触れるものを容赦なく深い漆黒の世界へ引きずり込むドゥーミーなベルギー産重音ポストメタル。全てを黒に塗り潰す、闇の底から響く咆哮。

 

 

25. Kauan - Kaiho

 

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定期的にロシアから届く美しき物語、その新作。ポストロック/プログレを"神秘と静寂"で包み込んだ結果産み出されたのは、安らぎと力強さを併せ持つ一大アンビエント叙事詩

 

 

24. For Tracy Hyde - he(r)art

 

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魔法のような音楽。都会の夜、飲み屋からは楽しげな笑い声が溢れカップルは寄り添い人々はそれぞれ忙しく行き交う中、寂しい気分になったわたしはiPhoneからイヤホンを経由しこのキラキラした音楽を何度も両耳へ流した。なにより曲のよさ、そして果てしない声の魅力。

 

 

23. Giant Claw - Soft Channel

 

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インターネットのバーチャル上に漂う不可思議な空間から電子音に擬態して放たれる音の彫刻。この作品を聴くのに立派なコンポなどなくてもよい、PCもしくは携帯電話とWi-Fiさえあればいい。

 

 

22. Der Weg einer Freiheit - Finisterre

 

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神秘的な清らかさと果てしない暴力衝動という相反する要素を兼ね備えたドイツ産ポストブラックメタルバンドによる美しき絨毯爆撃型殲滅攻撃音塊。

 

 

21. James Holden & The Animal Spirits - The Animal Spirits

 

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一曲一曲に物語があり、流れるような展開が気分を高揚させる。様々な要素を吸収し融合させ放つ波動はテクノ/サイケ/プログレッシブ/ジャズなどのジャンルを軽く超えていく、なんとも眩惑的なバンド作。

 

 

20. Grandaddy - Last Place

 

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久しぶりに再会した旧友はブランクなど無いかのように屈託なくその人懐こい笑顔をこちらに向け、わたし達はなんだか嬉しくなる。グランダディ10年ぶりの新作は優しくて親しみやすくて素朴で、何年経っても変わらない佇まいのインディロック。

 

 

19. Ash & Herb - Northern Lights

 

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ちょっとキメすぎちゃったみたいで音の輪郭など遥か彼方へ吹き飛んでしまったアシッドフォーク。常識も理性も何もかも忘れてしまえる完璧なトリップ体験があなたを待っている。

 

 

18. Caterina Barbieri - Patterns of Consciousness

 

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シンプルな構成で最大の効用を。脳を痺らすシンセ音の持続と反復で聴く者を強烈にトリップへ誘う女性電子音楽家によるクールな遊戯。わたしの自室のレコ棚には、Ashra『New Age of Earth』やTerry Riley『A Rainbow in Curved Air』の隣に彼女のレコードが収められている。

 

 

17. KLEIN - Only

 

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時空が歪み常識が溶ける危険物質を多量に放出するR&Bを超えた"なにか(名前はまだない)"。ダウナーでバッドトリップな音響実験室。再生時は音量に注意して、家族や隣近所が怪訝な目を向け心配するから。

 

 

16. PACHINKO MACHINE MUSIC - PACHINKO MACHINE MUSIC 2

 

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我々庶民にとって"最も身近な場所"に渦巻く欲望と騒音を分解/再構築した結果出来上がったのは、フィールドレコーディングの極北でありグロテスクな程ポップなノイズミュージック。

 

 

15. Ellen Arkbro - For Organ and Brass

 

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スウェーデンの美しき異才がリリースしたナチュラルトリップ作品。どこまでもミニマルに繰り返す心地よき音の重なりが快感と平安を同時に生み出し、心の毒を優しく洗浄する今年最良の実験音楽

 

 

14. Ellen Allien - Nost

 

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ベルリンテクノシーンの美しき代表者、久しぶりのフルアルバムは生真面目すぎるくらいのストイックなテクノ作品であり、このような音楽はフロアの闇でこそ輝く。

 

 

13. Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs - Feed the Rats

 

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強靭な轟音がサイケデリックに荒れ狂い脳内麻薬の泉を決壊させる重音酩酊音楽。今一番ライブを見たいバンドは何か?と問われれば即答でピグスと告げる。

 

 

12. Micah P. Hinson - Presents the Holy Strangers

 

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その渋さ、伝統的な音楽を幻想的な音像に仕立て時間を超越した世界に迷い込ませる魔力はまるでLambchopの名盤『Nixon』のようだ。真昼に見る幻のような美しき世界。シンプルだからこそ響くものがある。

 

 

11. Ariel Pink - Dedicated to Bobby Jameson

 

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百面相のようにコロコロ変わる展開とチープなサウンドを手品のように繰り出し続ける奇妙なポップスター。音楽も本人も相当な捻くれ具合。ただ彼の作る曲の奥底には"アリエル・ピンク流ソウルミュージック"が宿っていて、わたしはいつもそれに惹かれる。

 

 

10. Wolves in the Throne Room - Thrice Woven

 

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みんなが好きな"ブラックメタルのWITTR"帰還。どこまでも重く激しく美しく突き進み昇っていく、荘厳なその様をまた見れてよかった。あとこれは音楽本編とは関係ない話だが、Daymare Recordings特有の"解説紙裏面のカタログ"を眺めるのが本当に大好きでいつもワクワクする。

 

 

9. Lee Ranaldo - Electric Trim

 

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【失われたソニック・ユース】以降、メンバーの中で最も創作的に絶好調なのはリーである、とわたしは思っている。ギタリストとしての印象が強い彼だがソングライターとしても一級品である事は誰の目にも明らかで、SY時代から見え隠れしていたリー独特の優しげなメロディーが今作も華開いている。

 

 

8. 柴田聡子 - 愛の休日 

 

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前作『柴田聡子』は2015年の年間ベスト1位に選定した。今作と前作で違いがあるとすれば"前作のジャケのほうが好き"ということだけ(しかしこれ以上なく重要なポイント)。CDのジャケットに「ダイエットしながら太ってんじゃねー!」とサインを書いてくださってありがとうごさいました。この場を借りて柴田さんにお礼を。

 

 

7.  Ed Askew - Art and Life

 

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今年はESP-DISK時代のラジオ音源集なんて素晴らしいものも発売されたが、『Art and Life』の素朴な美しさには敵わない。ここにはアシッドフォークやサイケフォークなんて着物を脱ぎ捨てた、聴くものの感情を震わせる裸のうたがある。

 

 

6. Tennis - Yours Conditionally

 

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雪が溶け、春の風が吹き始めた頃遠く海の向こうから届けられた日向の香りがする10編の物語。70〜80'sのポップソングのエッセンスをふんだんにまぶした素敵ポップソング集は、木々が萌え薫風吹き枯葉落ち肉まんやおでんをハフハフする頃まで季節が移り変わっても尚わたしを魅了してやまない。

 

 

5. YOUR SONG IS GOOD - Extended

 

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久しぶりに聴いたYSIGはとてつもないバンドに進化していた。様々な音楽要素を取り入れ"反復による快楽"を極限まで抽出した楽曲はクールなのに熱く、まるで常夏の国のクラウト/ポストパンクサウンドのようだ。

 

4. Boy Pablo - Roy Pablo

 

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何はともあれこの「何もかも最高にダサくてカッコ悪くて、でもクセになる程輝いてる」MV(https://youtu.be/Lzi7ljJiLJQ)を見てもらえればそれ以上の説明はいらない気がする。

ノルウェーから現れたレトロでトロピカルな脱力ポップ少年、ブレイクまであと少しだ。

 

 

3. Ex Eye -  Ex Eye

 

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空間を埋め尽くす音の圧力。各人それぞれが高いテンションのまま衝突し重なり合って先へ先へと突き進んでいく。ブラックメタル・ポストロック・フリージャズ、その全てを融合し爆音で突き進んでいく。向かう所敵なし、完全無欠の轟音。

 

 

2. The War on Drugs - A Deeper Understanding

 

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ジャケで「往年の名盤」の薫りをプンプン漂わせるあざとさを披露しつつ、決して懐古的ではなくあくまで現代的。心地よさは据え置きで、しかしあまり夢見心地にならずしっかり地に足をつけてインディロックという枠を超えた普遍的な名曲を鳴らす事に成功した彼らの大いなる一歩。

 

 

1. 赤い公園 - 熱唱サマー

 

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自分の場合年間ベストの順位づけなんてものは"いかに繰り返し聴いたか"の回数だけが選定基準であり、わたしは2017年夏の終わり以降コンポから、イヤホンから、カーステレオから幾度となくこの"大好きな12曲"を再生した、ただそれだけなのだ。