2018 年間ベストアルバム

〜はじめに〜

毎年12月恒例の年間ベスト、2018年版です。

今年こそはこまめにブログ更新しようと年頭に決意したのですが、持ち前のめんどくさがりな性格が災いして案の定1年ぶりの更新となります。

2018年はサブスクリプションとの付き合い方(サービス開始当初はサブスク大嫌いでした)が自分の中で落ち着き、ネットで視聴→良ければ購入という流れが定着した年でした。

そんな"世界規模でサブスクがすっかり定着した"感のある今年のベスト選定基準は

①再生数が多いもの

②フィジカル(CD/LP)、もしくはデータで購入したもの

③言うまでもなく"好き"なもの

で、それに則ったランキングとなりました(一部フィジカル/データ発売されていないものもありますが、再生数がズバ抜けているのでそれは特例です)。

1年間たくさん聴いたしたくさん音源も買ったし良いものも多かったので、今年は50枚選出してコメントを書いています。

長いですがどうぞ途中で休憩を挟むなりして御一読していただけると作った甲斐があるというものです。

※今回から『各作品で個人的に1番好きな曲』のリンクをコメントの後に添付し視聴できるようにしてみました。

Spotify/soundcloud/Bandcamp/YouTubeとそれぞれ様々な形態で貼り付けられてありますが、自分は基本的にSpotifyでの視聴をメインとしている為そちらのリンクが多めになっています。

 

 

前置きが長くなりました。それでは2018年の年間ベストアルバムです。

 

 

50. Beach House - 7

 

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思えばこのバンドの音源を始めて買ったのはちょうど10年前だったな、それから10年間ずっと好きでい続けてるんだな……と少し感傷的な気分になった7作目。長い年月をかけ完成形に近づいた貫禄のドリームポップは、もはや甘ったるい代物ではなくなり霊的な波動を纏い始めた。「そんなに褒めるならなんでこんな低い順位なのよ?」と言われそうだが、内容的に素晴らしいのは重々承知の上で言うと個人的にコレは"完璧すぎる"し"隙が無さすぎる"と感じてしまって、「わたしなんぞがこのような聖なるものに触れるのは恐れ多い…」と萎縮してしまうのだ。10年前にリリースされた2nd『Devotion』やその次の『Teen Dream』には確かにあった"可愛らしさ"が今は懐かしく思えるくらい遠い地平まで辿り着いた新作である。

(ちなみにわたしの"私的ドリームポップ2大名曲"はBeach House「D.A.R.L.I.N.G」とAsobi Seksu「Me & Mary」です)

 

https://open.spotify.com/track/6PGrkeJpDpgiFLvgKYD489?si=DiSqWM1IRNKrJl0TpEGEGw

 

49. DIR EN GREY - The Insulated World

 

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他の追随を許さず、その独自すぎる世界観で海外からも絶大な信頼を得ている重音アート集団約4年ぶりの自己表明は、90'sエクストリームメタル的な重く歪んだサウンドと怪しく耽美な世界が同居した彼らの美学が溢れており、聴く方も深く沈み込んでしまう底なし沼のように危険な作品。

 

https://open.spotify.com/track/0XjuKIebjKkshap03sYjfs?si=RznwtN6nSM6ivutOe2SQug

 

48. Rissau - Ruang Temu

 

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サブスクリプションの時代じゃなければこのバンドの事など知ることも困難だっただろうし聴く機会もなかったかもしれない(シューゲファンからの評価は高いがなぜかTwitter上でもほぼ言及される事はなかった)。RideやSlowdive〜現代のBeach Houseあたりまで、歴史に名を刻んだ偉大なバンド達のエキスがたっぷり詰まったドリームポップ/シューゲイザーバンドfromインドネシア。いわゆる"シューゲイザーの様式美"的なものを崩さず守り抜いた楽曲は別段目新しくはないが、それでもやっぱりこういう"揺らぐ音楽"には安心感を覚える。

 

https://open.spotify.com/track/2C6Kok4BgFJG3NvRlwnFe8?si=pwRVbkNpTiWw0uWCPSnE5w

 

47. Cindy Lee - Model Express

 

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カナダのポストパンクバンドPreoccupations→Viet Cong(わたしはこの"ベトコン"というバンドが大好きだった)の前身バンドである『Women』のボーカリスト、Patrick Flegelのアシッドフォークプロジェクト新作。もともとかなりLo- Fiである上に曲を薄く覆うドローンを加えて更に視界不良にしたサウンドは、まるで目薬をさした直後に見える"すべてぐにゃぐにゃにぼやけた世界"のような酩酊を誘う。あまりにも浮世離れしたこの音楽を聴くと心が穏やか夢見心地になりますので、寝る前に服用するのがよいと思います。

 

https://open.spotify.com/track/2qrejFX0fFbE2Mq1ZGXSvr?si=JBRqWr9tSc-1iHyCVwxo4g

 

46. Locust Fudge - Oscillation

 

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リアルタイム世代であろうが後追い世代であろうがロック好きなら誰しも一度は通る、今や"もっとも振り返られない"ジャンルのひとつ『グランジ』という道を堂々と歩くベルリン産ロックバンドから90年代を愛するあなた(わたし)へ音楽の贈り物。とにかくまんまDinosaur Jr.だったりまんまSonic Youthだったりするポップなザラつきサウンドは、もはやモノマネやパクりの域を超えて「よくここまで再現した!」と感動を覚えるしむしろ新鮮に聴こえる。

 

https://open.spotify.com/track/2NZ4E9wypKnbMVqpGNSsLX?si=To7zEh4oR7qLsCgeRfyEyw

 

45. 日野繭子 - Lunisolar

 

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日本におけるノイズレジェンドのひとり、激しさとは別の次元で超危険な波動を産み出すノイズ女番長 日野繭子さんの2nd。安全な家の中で窓の外の嵐を見ているみたいな、なんとも言えない精神的不安感に満ち満ちたサイケデリックノイズ。わたしは基本的にノイズというジャンルが大好きだしこのアルバムもめちゃくちゃカッコいいと思うんだけど、それでも精神的にキツいときには絶対に聴けないしこんなの聴いてるとホント気持ちが病んでくる。1年365日元気溌剌!みたいな奴に決してなれないわたしはこういう音楽に救いを求めてしまう夜だってあるのだ。

 

https://open.spotify.com/track/1PDTMRtkGzTrpi5XQMISwp?si=QQQe4MYTQbC-1p66igyeTw  (←22分超えた辺りからは本当にヤバい)

 

44. Cool Sounds - Cactus Country

 

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いつかどこかで聴いたことがあるような、忘れられた曲たちの断片…そんな"頭の片隅に眠っていた記憶"をくすぐる懐かしくてノンキな響き。時代の波には乗れないがなんの気負いもなくノホホンと良い曲を作るインディーシーンの新たな愛されキャラ。音/ジャケ/佇まい全てがヘボ可愛いメルボルン発男女混成7人組の1st。アー写がどうしようもなくモテなさそうで最高に好印象である。

 

https://open.spotify.com/track/6VOMX0awzDxCHzkhPe1epB?si=KG64Y8jhQFqK0UtqSbkt3w

 

43. Megumi Acorda - Unexpectedly

 

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この手のジャンルが好きな人なら確実に一曲聴けば恋に落ちる、フィリピンから降臨した激甘ドリームポップ/シューゲイザーの天使。気怠い女性Vo+ゆったりしたドリーミーサウンドはMazzy Starを連想したり。先に紹介したインドネシアのRissauを始め既に日本でもブレイクしている韓国のSay Sue Me、シンガポールのCosmic Child、中国のPocari Sweet、日本のCollapseなどが今年発表した作品も軒並み素晴らしく、"アジアのシューゲイザー"の熱気と勢いを感じた1年であった。

 

https://open.spotify.com/track/76tFtc3882Z4VLp08xoBQc?si=CoJnE0QIRRepwWSI2a2Dog

 

42. Puce Mary - The Drought

 

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デンマークが誇るインダストリアルノイズの女王様が無事ご帰還なされた。ここに収録された楽曲は世間一般がノイズと聞いてイメージする"耳障りの悪い不快音"といった粗悪品ではなく、全てが繊細で慎重に配置された"冷たい音響彫刻"でありむしろ普段の生活では得られない特別な体験を鼓膜に与える。ミケランジェロ・アントニオーニの映画(あの映画暗くて好きなんだよな)をモチーフにした楽曲や美しいアルバムアートワークなど、要所要所で鋭い美的感覚が表出しているのもよい。

 

https://open.spotify.com/track/273z7stoJGCGAAnhBprGIL?si=0p9J2HkQTbKIMe0KU1NLUQ

 

41. Nadja - Sonnborner

 

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安心安全・最高にして最良の品質でこちらの欲求を確実に満たす信頼のブランド、メタルという枠/檻を破壊し堂々かつ優雅に響き続けるNadjaの新作は2016年発表の前作に引き続き2作連続年間ベスト入りとなった。Aidan BakerとLeah Buckareffの2人が発するドゥームな轟音と美しいアンビエントドローンはもちろん不変で、長尺曲が抜群に良いのもいつも通りである。心身共に安らぎを与える神秘の重音楽といった感じ。(言い過ぎか?)

 

https://open.spotify.com/track/5IXCNKeXKJOXnj0sBJekRp?si=SdYtv585TkO4ROdqRe22EA  (←30分あります)

 

40. The Voidz - Virtue

 

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ジュリアン・カサブランカスという男は凄い。ここまで支離滅裂で意味不明で最高にカッコいいアルバムを作ってしまうとは恐れ入った。めちゃくちゃとはいえギリギリのラインでしっかりした曲に仕上げてくるとは、さすが若きロックレジェンドやる事がニクい。00年代を代表する、皆が新作を期待するバンドThe Strokesでの大事な活動を放置してまでもこの作品を制作した心意気に拍手。もはやまともっぽい曲が逆に浮いてしまっているという謎仕様…余裕で時代の2.5歩先を行ってる。

 

https://open.spotify.com/track/6pMRk6Tr05wmZSSINOqzE3?si=7ZqjIOFASX6Nsnii4Z81Xw

 

39. グソクムズ - グソクムズ風

 

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サブスクオンリーで音楽を聴いていては見つけられない、ライブハウスやレコードショップに実際足を運ばないと辿り着けない音楽がまだまだこの世界にはたくさんある。我々の心に宿る"はっぴいえんど愛"をくすぐり続けるグソクムズもそのうちのひとつで、どんなに世の中が便利になろうがこういう現場での素敵な出会いは大切にしていきたい。ようやくディスクユニオンでもCDの取り扱いが始まり、より一層知名度が上がりそうな風が吹いている。

 

https://youtu.be/YDPk3y8IS6o

 

38. Alkaline Trio - Is This Thing Cursed?

 

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おかえりアルカライントリオ!!再生して即緩む涙腺…。わたしがThe Get Up Kidsにハマりまくり青春の全てを捧げていた1990年代後半〜2000年代前半、彼らと同じVagrantからリリースしていた(Vagrantのカタログには他にFace To Face、Rocket From the CryptDashboard Confessionalなどが毎回載っていた。なんという贅沢!)という理由で聴いて夢中になったあの時から十数年……その間も精力的にリリースを重ねつつの5年ぶりの前線復帰。赤と黒を基調としたジャケット含めこいつら最高なまま何も変わってねえ!漢らしい骨太ロックと泣きエモ全開のメロディーを貫いた9作目、長年待ったファンも報われる全力で最高な2018年のポップパンク決定盤。

 

https://open.spotify.com/track/4KgLMgC9724dK12vbHkbYk?si=pbUs7rR1QpS01wkyPkfSbA

 

37. Matt Karmil - Will

 

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2018年は個人的に仕事がとても忙しく心身ともにボロボロだったので、せめて休日くらいは何も考えず自室や風呂の湯船でボーッとしたいと考え、その際に再生する"心地良く聞き流せる音楽"を求めインターネット中を彷徨った。そこで出会ったのがノルウェーの最重要レーベルSmalltown SupersoundからリリースされていたMatt Karmilであり、彼のレコードから流れるコズミックでアンビエントミニマルテクノはわたしに沢山の安心感と脱力感と眠気を与えてくれたので今年一年とても重宝した。

(ミニマル好きな人達の間でもこのアルバムは割と評価高いらしい)

 

http://matt-karmil.bandcamp.com/track/cant-find-it-the-house-sound-2

 

36. Emma Tricca - St.Peter

 

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雪のように清らかで淡い日差しの暖かさを感じるこの音はきっと冬の朝に合うだろうな、と春先にリリースされた頃から思っていたが年間ベストを作るこの時期になってその考えは間違っていなかったと実感している。エマ・トリッカがローマから奏でたこの新作が仮に今の音楽シーンから無視され埋もれたとしても、'00年代半ばにAnimal CollectiveやDevendra Banhartらが30年以上前に作られたアシッドフォークの隠れた名盤群を再発見し自身の音楽に取り入れたように、いつしかこのアルバムも後の世の若きボヘミアンたちにレコード屋の隅っこ・もしくはウェブの彼方から発見され多大な癒しとインスピレーションを与えるだろう。

(手元にあるオリジナル盤のCDはその頃まで大事に持っていることにしようと決めた)

 

https://open.spotify.com/track/5McApVhUZxr73ZYuP2Z0U2?si=gcIe-O0SRDi2xxUuO0FO0A

 

35. 공중도둑(Mid-Air Thief) - 무너지기(Crumbling)

 

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世界規格のアーティストを次々輩出する韓国から届いた極上宅録インディー。リリース当初は「何者!?」とひとりざわめいたが、公衆道徳の別名義だと知って全て納得&「んで結局どんな奴よ?」と興味は尽きない。冷んやりとした肌触りのアコースティックサウンドに控えめながらも暖かく跳ねる電子音が重なり、徹底的にこだわった実験的で複雑な展開でも"絶対にポップミュージックの範囲から外れない"サウンドバランスが素晴らしい。日本盤フィジカル盤もリリースされたようだし、来年以降も【公衆道徳=空中泥棒】はインディーの枠を超えてより一層知名度をあげていきそうだ。

(わたしは韓国盤に慣れ親しんでいるので今回"空中泥棒"ではなく"Mid-Air Thief"名義での選出とした)

 

https://open.spotify.com/track/5BhkmqOd41eOl3dJjpBRoB?si=pn_ljW6hQBWw6MT-YRT1ZA

 

34. Josephine Foster - Faithful Fairy Harmony

 

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例えばこのアルバムをLinda Perhacs『Parallelograms』やVashti Bunyan『Just Another Diamond Day』、Sieylle Baier『Colour Green』、Karen Dalton『It's So Hard to Tell Who's Going to Love You the Best』などの名盤たちと同時期に録音されたと言われてもすんなり信じてしまいそう。現代の妖精ジョセフィン・フォスターの新作は、"誰も触れられない清廉の美しさ/いつでも身近にある親しみやすさ"が合わさった幽玄のフォークソング集。

(もうちょっとコンパクトな収録時間ならもっと上の順位でした)

 

https://open.spotify.com/track/4NrOiIQu1b2oMu9EjXOXnE?si=8m4N9c1AQnCEKrAJZa6_xA

 

33. Lori Scacco - Desire Loop

 

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まるでミネラルウォーターの如く透明で綺麗な液体が身体中を満たしていく感覚を覚える音楽。空前のアンビエントブームのおかげで陶酔的かつ逃避的な音源にたくさん出会える昨今だが、(なんと14年ぶりらしい)ロリ・スカッコの新作は他と比べても圧倒的に満足度が高い。雨降りの日はこんな音楽を聴きながら1日家でボーッとしていたい。

 

https://open.spotify.com/track/3P489lT4x9RJao9uW7EQuE?si=3bQNUn2yRUia8JKakLd5CA

 

32. John Moods - The Essential John Moods

 

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ゆったりとした時間が流れる甘美なこのアルバムを再生する度に身体のチカラが抜けていきふにゃふにゃした気分になってしまう。幽体離脱しているアルバムジャケット通り、うっとりしたついでに魂まで抜けていきそうな極上のソフトサイケ/アンビエントポップ。Sean Nicholas Savage(以前新代田Feverでこの人のライブを見た事があるが、凄く良いライブだったと記憶している)との共演曲も夢見心地で素敵。まるで子守唄のような優しい音楽を小さい音量で再生して、今夜もわたしはちびちびお酒を飲むのです。

 

https://open.spotify.com/track/3mm17fLWzYLrHRarQF2msx?si=WKYdnNAfQumoBnyLSFT3tQ

 

31. Tsudio Studio - Port Island

 

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オシャレでキラキラ、そしてちょっとアダルトな恋の気配を感じるこの音源を聴きながら、今年の夏以降わたしは未だ訪れた事がない神戸という街を想像していた。神戸は良い街だと聞くし、Local Visionsさんから届いたこの"架空の神戸の特産品カセット"とウォークマンをポケットに入れて素敵な街を歩いてみたい。

(Local Visionsさんからリリースされている音源はいまのところ全部聴いています)

 

https://open.spotify.com/track/6aE3eVY31mZOqqdg6plSSY?si=jtLL-_CUScKkL3dKvrXq0A

 

30. Eric Bachmann - No Recover

 

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90年代のUSインディーロックファンにとって大切な宝物のひとつ、Archers Of Loaf〜Crooked Fingersのエリック・バックマンが切ない唄心で作り上げた新作。ひたすらに美しい黄昏のメロディは、アルバムジャケットが示す通り夜が始まる少し前の"茜色に染まる時間帯"に聴きたくなる。Neko Caseが今年発表したアルバムに収録されているCrooked Fingersカバー(しかもバックマンとデュエット!!!)もめちゃくちゃ良かった。

 

https://open.spotify.com/track/13ROuKq2zrkH1jSg7tSbW1?si=5ZyKc4MhTXO8v25cvtxx7g

 

29. OGOD(Over-Gain Optimal Death) - More Hearing

 

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己が信じる道を突き進み、それ以外は「うるせ〜〜!!!!!! 知らね〜〜〜!!!!」と聞く耳を持たない暴走特急。産まれてはアッという間に消える数々のガレージバンドの怨霊が取り憑いた爆音上等野郎どもが鳴らすのは、無菌でキレイキレイな音に中指を立てるやかましくて歪んでてザラついてて篭った汚ったない暴力音楽。

 

http://ogod.bandcamp.com/track/narcost

 

28. aiko - 湿った夏の始まり

 

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長年聴いていて慣れ親しんだ存在なので信頼感と安心感は抜群な平成を代表する女性ポップ作家の13作目。"弾ける若い恋"から徐々に"大人のビターな恋"にシフトした歌詞同様サウンドも更に円熟味と統一感を増し、元々完成していたカラフルな風味に深みを与えた。視点を逆にして読む「意味がわかると怖い話」的歌詞も健在。

 

aikoさんはサブスクリプション解禁されていないので(それはそれで確固たる意志があるようで良い)好きな曲を添付できませんが、4曲目「あなたは」が1番好きです。

 

27. The Essex Green - Hardly Electronic

 

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むかしむかし、ある時代のある所に『エレファント6』というポップ音楽愛好家集団があった。Olivia Tremor ControlやApples in Stereo、Neutral Milk Hotel、Elf Powerなどと名乗る若者達が集うサークルの中にThe Essex Greenという名で演奏を行っていた若者達もいた。12年歳を取ったかつての若者達が発表した歌たちは、往年のファンの胸をときめかせ"キラキラしていたあの頃"を我々に思い出させた。そして長く愛聴盤として聞かれることになった。(という素敵なお話)

 

https://open.spotify.com/track/4sK07MZvPvnpnlGMy8kxEd?si=UlMAE0HRSJuDxoySVCGSkw

 

26. Inkwell Moon - Bad Day Dream

 

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USはインディアナから現れたとにかくいい曲を書くエモ/ポストハードコアバンドの1st。アルバムタイトルや各曲の曲名、逆さに写っているシャンデリアのジャケットが匂わす通り終始一貫して"打ちのめされた"ムード(そして美メロ)がアルバムを支配しており、スロウな曲ではサッドコアすら思わせる。9月半ばにリリースされたこともあり、今年はInkwell Moonのカッコよく切なく寂しい音を肴にひとり秋の夜長を過ごした。

 

https://open.spotify.com/track/0ra2T0c02eTyqK7B3fsE5o?si=t0ml0bGkT2WGKA2IrGqU9Q

 

25. Bonny Doon - Longwave

 

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年間ベストだからって全てのアルバムになんとしてもコメントをつけたいとかなにがなんでも評価したいってことはないし、このアルバムを特別リコメンドしたいって気持ちもないんですよ実は。でも特に大きな理由はないけどものすごく好きなんですよねコレ、落ち着くし。しいて言えばわたしが心底愛しているジェイソン・モリーナ(Songs:Ohia、Magnolia Electric Co.)の血筋を感じる曲調が沁みるっていうか。このアルバムを今回のベストのちょうど真ん中に位置させたのは自分的にすごく納得いく感じで、多分コレ何年後とかにも普通になんとなく聴いてそう。その頃にはレコードの盤面もちょっと傷ついてたりして。そういうのなんかいいな〜とか思いながらの25位。

 

https://open.spotify.com/track/1bp62uAn4ETZHpMaY7W7Un?si=7xWtwloWTyyqK-Xt232lTA

 

24. Panopticon - The Scars of Man on the Once Nameless Wilderness(Ⅰ&Ⅱ)

 

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好き者たちの間でもかなり評価が高かった自然派ブラックメタリストによる新作シリーズの2in1盤。〝静〟と〝激〟を行き来しつつ荘厳に音が渦巻く前半、ブラックというよりはフォーク〜ポストロックな佇まいのひたすらに美しい後半どちらも素晴らしい。パート1・2共に収録時間が長いが不思議と飽きない魅力的な仕上がり。

 

https://open.spotify.com/track/2vluFKWBHtkr691daGDUzP?si=DFlJf-T5RdyIcxrHlFsx1Q  (←パート1に収録)

 

23. Nicholas Krgovich - "Ouch"

 

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優しく流麗に流れ続ける見事な室内楽ポップ。簡素だが思わず引き込まれてしまうメロディセンスに、悪趣味にならない程度のロマンティックさをサラリと塗した味付けを施した結果産まれた楽曲たちは、"地味にもならず派手にもならない"絶妙なバランスを保っており、ポップ音楽愛好家の間で永く語り継がれてほしい良作。

 

https://open.spotify.com/track/3f9cZ7Sy200OPshLWhKS98?si=ZhV2AxPVRzKVQMoByk2aZg

 

22. Cloud Nothings - Last Building Burning

 

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彼らのスタジオ録音盤を聞く度に思うが、ただがなり立て"やけっぱち"に音をブチかますだけではなく、粗い音を""丁寧に""響かせるのがこのバンドの最大に好きなポイントであり、今作も『勢いがあり/聴きやすく/メロディアスで/カッコいい』最高のロックアルバムに仕上がっている。

(ライブになると投げやり感が強くなりすぎて「もうちょっと丁寧に演れよ!」と思うが、まああの勢いだけな感じも悪くないよな)

 

https://open.spotify.com/track/1gbIocBkYLIW1JQFK3hHM8?si=BpyYZG9ZSSC1G6TMQOzGUQ

 

21. Caoilfhionn Rose - Awaken

 

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ノリに乗ってるUKレーベル【GONDWANA】からリリースされた魅力的な1st。全編を包むしっとりとした空気や、喜怒哀楽の合間にある不思議な感情を刺激するトラッド風味の煮え切らないメロディー、少し斜のかかったような声も、なにもかもが心に刺さる。

 

https://open.spotify.com/track/3ggzWRwrxcAsmGa2eCWLgT?si=C7e4YYsfQo2Ik63DDHAOkA

 

20. 平賀さち枝とホームカミングス - カントリーロード/ヴィレッジ・ファマーシー

 

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この2組の前作『白い光の朝に』がセカンドロイヤルからリリースされた2014年9月10日以降の4年間わたしは事あるごとに何度も何度も表題曲を聴き返して日々を過ごした(「白い光の朝に」のMVの雰囲気がめちゃくちゃ好きなのでディスクではなくYouTubeで。福富くんがスライディングしてくるとこが特に好き)。まさかのコラボレーション2作目の1曲目「カントリーロード」、今年曲単位では断トツ1番聴いた曲。表題曲だけで言えば前作より良い、てか好き。Pavementカバーも選曲がまさかのアレでとても良い(Pavementのあのアルバムほんと良いよな…)。とりあえずはやくカントリーロードのMV作ってください。あと来年の夏こそは京都タワーが見える場所でビアガーデンしたいので誰か誘ってください。

 

https://open.spotify.com/track/2JlzIai4ifuhyZ2pjiuNV8?si=TVZ397L1Qp-TYSkKQC06gw

 

19. Jon Hassell - Listening To Pictures

 

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ジャズと電子音をワンランク上の意識で溶け合わせ融合させた不穏な空気。シュトックハウゼンから電子音を学んだ81歳のトランペッターが吹き込んだ第四世界的呪術。テリー・ライリー、ラ・モンテ・ヤング、ブライアン・イーノを経てたどり着いたキャリア屈指の新たな代表作にして現代の音楽シーンに衝撃を与える台風の目。

 

https://open.spotify.com/track/3tlGG8Qkts1UZpL5aTnQXE?si=MwDIvZJRSpSVH6TX9NZFsQ

 

18. Elvis Costello & The Imposters - Look Now

 

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これぞコステロ節!!新旧全てのファンが納得の笑顔を見せる、小粋なロック曲と大人なソフトジャズっぽい曲がバランス良く配置された近年のコステロ作品の中でも間違いなく突出した出来の作品であり彼の新たな代表作。彼の作品はハズレなしだし基本的なラインは過去作と変わらないが、今作の曲の多彩さと往年の雰囲気を感じさせる楽曲はとても素晴らしく、特に『Painted from Memory』の頃の渋い色気を漂わせるしっとりした曲が凄い好みで(個人的にわたしのコステロ初体験盤がバート・バカラックとの共作『Painted from Memory』だったからかもしれないが)、聴くたびウットリしてしまう。60代も半ばを迎えたコステロおじさん、まだまだ若いモンには負けず貪欲にアウトプットし続ける。

 

https://open.spotify.com/track/5kRDu3eHX4OtVolyQ1ZRqr?si=7ZzGVkj_QfSlIwlsty5ZlA

 

17. AL-90 - Murmansk-60

 

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ロシアのアンダーグラウンドダンスフロアから届けられた最高のディープハウス。2018年に世界中のベッドルームから日々発信され続けた数々のエレクトロサウンド同様実験的でエクスペリメンタルな響きを基調としているが、最近ありがちな"先鋭的だが踊れないリスニング仕様"ではなくあくまで"実用的で快楽重視の現場主義"的ダンスチューンに仕上げているのがリスナーとしては非常に嬉しい。来年は何かしらの野外イベントでこの歪んだハウスを聴きながら現実の事全て忘れて一晩中踊りたいですね。

 

http://al-90.bandcamp.com/track/000903-gulfstream

 

16. Connan Mockasin - Jassbusters

 

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あの"時空が歪むほど狂ったポップソング集"だった1stアルバム『Please Turn Me Into the Snat』(後に『Forever Dolphin Love』と改題しているが、自分としては圧倒的に黄色ジャケの方に思い入れがある)至上主義の人間としては、以前より随分とスッキリした真人間になった感じはするがそれでもまだまだヘンテコなサウンドは健在で、身体中の力が抜けきってしまうような"ねっとりソフトロック"を聴くとこっちの頭のネジまで取れてしまいそうで怖い。(けどそれでもいいやと思ってしまう)

 

https://open.spotify.com/track/04INARq9J6yleKLtnF1Fbs?si=-ITgrvRmRj6CWQ5B-LVPyQ

 

15. DISCWOMAN 55 × Peach

 

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Boiler Roomでの"抜群のセンスで客を踊らせぴょんぴょん跳ねながら笑顔を振りまく"動画を見て以来わたしは彼女の虜だ。今世界で最も注目されているNYのコレクティブ『DISCWOMAN』がネット上に定期的にアップする一連のシリーズはどれもエキサイティングで大変素晴らしく、今後もこのシリーズが楽しみでならない。

(余談ですが11月にWWW Xで行われたDiscwomanのショーケースは深夜帯にも関わらず果てしなく盛り上がり最高の一夜となりました。特にUmfangのプレイは神。個人的にはmobilegirlの「戦メリ」使いがグッときました)

 

https://soundcloud.com/discwoman/discwoman-55-x-peach

 

https://youtu.be/VZClzm3K__4  (←Boiler Room)

 

14. Caterina Barbieri - Born Again in the Voltage

 

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今年のruralにて深夜2時から登場したキュートなカテリーナ嬢のライブは、彼女が操るモジュラーシンセから発せられる持続音と反復音によってわたしたちをナチュラルトリップへと誘った。(詳しくは言わないが完全に"アレ"な方々もたくさんいらっしゃいました)

昨年発売の『Patterns of Consciousness』に続いて2作連続年間ベスト入りとなった今作も脳がマヒするほどの電子幻覚音でわたしを虜にする。

 

https://open.spotify.com/track/6FnbUMsuDgY841EX4ByzkM?si=in2w2uCzQziI1771qUYvhw

 

13. 優河 - 魔法

 

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流れる河のようにゆるやかで優しい楽曲と「静かに/強く」自己主張する透明な歌声。岡田拓郎やharuka nakamuraのサポートも素晴らしい。ライブにて「優河さんは早く紅白に出るべき」というようなことを古川麦さんがおっしゃっていたが、わたしも全く同感です。

(ちなみにライブはCD音源より全然凄かったです)

 

https://open.spotify.com/track/5GZzvh4FxMWIwOmx44i6ZD?si=XMug7t21RjGK882Sw7p_iA

 

12. 千紗子と純太 - 千紗子と純太と君

 

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CASIOトルコ温泉とneco眠るのメンバーによるこのコンビがリリースしたアルバムは、〝とても簡素な言葉(でもなんかジーンと心に響く)〟と〝とても簡素な音(でもなんかジーンとココロに響く)〟が重なり合って出来たふたりにとって・わたしにとってとても大切な作品。"千紗子と純太なら大丈夫!例えフェイクでもいい 大丈夫、二人でなら"と歌詞にもある通り、この2人が奏でる音楽なら安心して身を任せられると思ってしまう。

 

https://soundcloud.com/fanorecords/dispersed-ego

 

11. Vein - errorzone

 

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今年の音楽シーンで最も大きなトピックは?カニエの新譜?年末に出たThe 1975?IdlesとかSerpentwithfeet、ceroやSnail MailやJPEGMAFIAやTom MischやA.A.LやBlood Orangeが素晴らしい作品をリリースしたときも凄く盛り上がったし、プリンスのピアノ弾き語りのアルバムリリースも嬉しかったな…。それ以外にも色々あるだろうし答えは人それぞれだがわたしにとってはVein、もはやこの手のジャンルが好きな人で知らぬ者はいないほどの人気と影響力を持ったVeinの1stフル一択それ以外考えられない。そもそも昨年夏YouTubeにアップされた"スッカスカのフロアでハードコア音頭を踊る客たち"の虚無いライブ映像を観て以来強烈に心惹かれていたこのバンド、満を持してドロップした1stは新たなハードコアの金字塔として長きに亘り光り輝きその名を轟かすだろう。新世代ヘヴィロックヒーローが世に放った無敵の27分39秒。

 

https://open.spotify.com/track/5eFI3Z10boOcLyJO4PnZ0F?si=byiVVEheRHWidQsZkhYWrA

 

https://youtu.be/FxiRpvQZDmg  (←昨年のライブ映像。凄すぎて笑ってしまう)

 

10. Jeff Rosenstock - Post

 

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思えば2018年はこの強烈な一発から始まったのだったな…としみじみする12月。1年間通してたくさん音楽を聴いていると年明け早々に発表された作品は"そんなに年月が経ってないのにもの凄く過去のモノっぽくなる"謎の現象で年間ベストの時期になる頃には忘れられがちになるが、ジェフ・ローゼンストックの新作はそんな「リスナーの勝手な気分」や「月日の経過」なぞお構いなしで聴けば常に最高なのだった。アルバム最後の11分10秒は今年何度も何度も繰り返して聴いた曲。2019年こそは彼のライブを是非とも日本で見たいものです。

 

https://open.spotify.com/track/0Dlmf40YU8984qxZlhGtx6?si=kyyHZfVrR7mKyfJ4rVwEjA

 

9. Xinlisupreme - I Am Not Shinzo Abe

 

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景色の全てを歪んだ音で埋め尽くす激烈轟音。日本が誇るエレクトリックシューゲイザーの極北、みんなが待ちに待った美メロノイズ待望の帰還。直近の傑作EP2枚の収録曲をシャッフルして構成した2ndフルは完全に新曲オリジナルというわけではないが、生きとし生けるもの全てが溶けて崩れ脳みそがメルトダウンしてしまう超名曲「Seaside Voice Guitar AD」が収録されているだけでもう最高に満足、昇天確定なのだ。現在の超うるさいMy Bloody Valentineと是非とも対バンして欲しいですね。負けねえよ。

 

https://open.spotify.com/track/2SmWGzhoJqZeCafF9Raq64?si=Kd6N-YWsT2alWn0DggCPZA  (←音量注意。特にイヤホン/ヘッドホンで聴く人は本当に注意してください。)

 

8. Yo La Tengo - There's a Riot Going On

 

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バンド史上かなりチル度が高い、傑作『And Then Nothing Turned Itself Inside-Out』と並ぶくらいアンビエント成分が高濃度なヨラテンゴ新作(「Cherry Chapstic」みたいな爆裂曲が収録されていない分チル度としては今作の方が上か)。今回は瞬発的にギアを上げるロックや轟音フィードバックノイズな曲はなく、長い年月をかけて自分の心の中でゆっくり愛を育み熟成させるタイプの曲が並ぶ。フォーク/ドローン/アンビエントの雰囲気を纏った〝静〟のヨラテンゴとしてはかなり決定版のような内容。もしかしたら数年後には「2018年の年間ベスト1位は結局ヨラテンゴだよね〜〜」とか調子いい事言ってそうである。それにしてもヨラテンゴおちょこは最高…。

 

https://open.spotify.com/track/0WAHfqId7rL8Q0VHN4yMeJ?si=6W0DDuNBSPmJ6zfANEGrtw

 

7. Kink Gong - Dian Long

 

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昨今のエクスペリメンタル系エレクトロ勢とも共振する実験的電子音でアジアの日常を切り刻み異形の風景に変えるフランス人のLP2枚組新作。フィールドレコーディング/アンビエント/コラージュ/IDMといった、"この音楽をギリギリ表現できる言葉"の範囲から遥かに逸脱したミュータント音塊。今年の来日公演も相当良かったようで、仕事の都合上行けなかったのがとても残念……。

 

https://open.spotify.com/track/1V6PNAntJI5wJuvzChDn3G?si=kqRgULBCRPybTsrn2jboCA

 

6. Maria Rita - Amor e Música

 

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いきなり本筋から話は逸れるが、わたしが社会人になって初めて貰ったお給料で買ったCDのうちの一枚がマリア・ヒタの1stだった。傑作2nd『Segundo』は当時タワーレコード仙台店で予約・取り寄せして買った(値段が高かった覚えがある)。というわけで、個人的にものすごく思い入れが強いマリア・ヒタ待望の新作である。現在のブラジルオールスターズが提供した"跳ねるリズムと陽気だが時折胸をキュッと締め付けるサウダージな雰囲気"の楽曲群が感動的に響き、その音楽の上で軽やかに舞い歌うマリア・ヒタの歌声は最高に美しい。2018年最も心が満たされたサンバアルバムであり、タイトル通り『愛と音楽』(こんなアルバムタイトルつけて許されるのは彼女くらいだ)が溢れた作品。

 

https://open.spotify.com/track/64E886N63OeShbk8S1dD30?si=VnR4cDQ8TrumoScjqNhn1g

 

5. Mutual Benefit - Thunder Follows the Light

 

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前作が2016年の当ブログ年間ベスト1位だった現代屈指のドリームポップ職人、その新作は聴き手を最短距離で現実逃避へと導くドリーミーなフォークソング集。全編を覆う優しく甘美な怠惰感は白昼夢の幻想を見せ、アルバムが終了しても残る果てしない余韻は"何かをする気力"を根こそぎ奪ってしまう。前作同様現在の音楽シーンのメインストリーム周辺とは遠く離れインディーロックシーンの中でも決して売れるようなものではない。だがそのかわり時代が変わっても絶対に古びない永遠性を宿した、いつまでも魅力が薄れず記憶に残る作品であるとわたしは思う。

 

https://open.spotify.com/track/25rWbshyKqNLYSYJHzc1DC?si=Z-YQVDh2TduW9SZI4Bm30A

 

4. Shutaro Noguchi - Love Super Terranean

 

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天才Shutaro Noguchi氏が米ルイヴィルから世界へ発信した桃源郷への入り口。とてもシンプルでポップなメロディーは極彩色に輝き、複雑に掻き回されプログレッシブなうねりを与えられた楽曲はそれでも疾走感を保つ。一曲一曲、展開が進むにつれ恍惚度合いが高くなる陶酔音楽。一家に一枚の必聴盤、今後大きな何かが始まりそうな予感がする傑作1st。それにしても漫画家の長尾謙一郎さん(この人の漫画は全て大好きです)が描いたジャケットが本当に本当に素晴らしく、音楽同様無限の想像力をリスナーに与える。特に裏ジャケがグッとくる。

 

http://sasmusic.bandcamp.com/album/lover-super-terranean   (←サブスクで聴けるのはこの曲だけですが全4曲全て貼りたいくらいヤバいです)

 

3. The Sha La Das - Love in the Wind

 

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"色褪せた写真"のようなビンテージの薫り漂うスウィートメロディがレコードから流れるとき、部屋の中が古き良き時代の匂いに包まれる…。まるでモータウン黄金期のような感触のファミリードゥーワップグループ1stは、どこまでもメロウでドリーミーなハーモニーに思わずうっとりの逸品。レコードの盤面ラベルも当時を匂わすデザインで「わかってる奴ら」という印象。

 

https://open.spotify.com/track/2n9GJO0N32j2iL4Ac0G8Rn?si=yUTdN0BhQeiJS3uDdgkiUg

 

2. Sleep - The Sciences

 

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聖なる山・聖地巡礼ときて、大量かつ絶え間ないスモークのお陰でついに宇宙まで意識をトばしてしまった現世最強ストーナー神3枚目のフル聖典。もはや無形重要文化財クラスのヘヴィーでドゥームな音は、"アドレナリンが沸騰して興奮を覚える"というような類のものではなく"深くリラックスしていき寝ながら覚醒しているような不思議な状態"に体をセットする。今年1月に行われた初来日公演は当然の事ながら大変素晴らしく、重い音と恍惚な空気が渦巻く人生レベルで記憶に残るライブでありました。

 

https://open.spotify.com/track/7uDRYzCgOPTYDuTSfNpuxo?si=YecMfIcDQXecUQ_bq9PdLA

 

1. Spiritualized - And Nothing Hurt

 

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一昨年の年間ベストでも言及したようにわたしはこのアルバムの発売を限界まで膨れ上がった期待の中迎えたが、いざリリースされた新作はその気持ちを充分に満たし且つこちらの予想を遥かに超えた(ジャケットが示唆しているように)孤高の地点まで到達していた。過去最高に穏やかで総集編的な作風は、これが本当に最後だとしたらあまりにも"綺麗すぎる"幕引きだと思ってしまうくらい彼が長年追い求めた音楽の"終着点"を感じる。他にも色々言いたい事はあるけど、とりあえずジェイソン・ピアースさん長い間お疲れ様でした。沢山の素敵な音楽を聴かせてくれて本当にありがとうございました。(いつでも戻ってきてください)

 

https://open.spotify.com/track/6c8I5Qq9yo3PU1B7jXNsDq?si=I2ed7ckXQr63-msG8pTbGQ

 

 

 

〜おわりに〜

 

以上が2018年の年間ベストになります。

曲単位ですと本編でも触れましたが平賀さち枝とホームカミングス「カントリーロード」の再生数がぶっちぎりで、ついで佐々木恵梨「ふゆびより」/KID FRESINO「Coincidence」なんかを繰り返し聴いていた1年でした。

 

やはりこの時期になると一年を振り返れて楽しいですね。年間ベストを作る為に今年増えたCD/レコード棚の中身を眺めたら色々思い出が蘇ってきました。Kamasi WashingtonとAutechreは収録時間長すぎてほとんど聴き返さなかったな、とかKali Uchisは音源ほとんど聴いてないくせにフジロック最前であのドエロいライブ見れてサイコーだったな、とかOPNの新譜についてるTシャツお揃いで着て友達と一緒に写真撮ったな、とか(その友達はそろそろ入籍するらしいですね。おめでとう!お幸せに!)。

Sun Araw Saddle SoapのCDはなかなか届かなくてイライラしたし、ECMからリリースしたMathias EickとESPからリリースのMatthew Shippは旅行ついでに渋谷のタワーレコードで店員さんに探してもらった。ソニックマニアでのライブが信じられないくらい良くて翌日慌ててAmazonに注文したDorian Concept(あの日ドリアン・コンセプトで一緒に騒いだ友達やマイブラ観ながらうるせーうるせー言い合った愛すべきお2人ホントありがとう!)、なぜかカセットで買っちゃったHovvdy、Young Guvは前作の方が良かったしベルギーのSTROOMレーベルから出た再発盤の数々に癒されたりしたしHigh On FireやSkeletonwitchなんかもよく聴いたけど圏外になっちゃった。大好きなOneidaの新譜レコードをどの棚に収納したかすっかり忘れてしまって探し出せない今現在のわたしは吉澤嘉代子とゴアトランスのMorphic Resonanceをよく聴いてて、めちゃくちゃ良いけど聴き込むまでは至らなかったな…とか。

思い返せばキリがないのでそろそろ辞めときますが、今年もたくさんの音楽に出会えました。

 

そろそろこの長ったらしい記事も締めの時間にしたいと思います。来年からは私生活で大きな変化があり、今までみたいには音楽を聴く時間が作れなさそうですがまた12月にブログを更新できたらいいなと思います。ここまで読んでいただきありがとうございます、駄文失礼しました。ではまた!