2022年 年間ベスト音楽

〜序文〜

3年ぶりの年間ベストです。

今年からは"アルバムというフォーマット"に拘らずランキングしています。

この中には、アルバムというまとまった形式のものだけではなく、YouTubeなどで曲単位での公開となったもの、過去音源のコンピレーション盤等々も含まれております。

 

以下、選出した50作品です。

今回もちょっとしたコメント入りです。

 

 

 

 

-50-

$uicideboy$

Sing Me a Lullaby, My Sweet Temptation

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米ラップシーンのカルトヒーローは心の闇を写し続ける。

個人的に最近のトラップ/ヒップホップシーンで1番信頼している存在は自○願望に取り憑かれた彼ら2人です。

暗く救いのない世界、綺麗事なんて言ってても現状は変わらないし、だからといって狂う事も出来ない。そんな鬱々とした気分の時に聴く彼らのトラックとリリックは聴く者に痛みとほんの少しの安心感を与えてくれます。

我々が$uicideboy$の病みを見る時、$uicideboy$もまた我々の病みを写しているのです。

 

 

-49-

Daphni

Cherry

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Dan Snaithの作る音楽は、名義の違いこそあれどベットルームでもフロアーでも同じ感覚で聴けるという、リスナーの環境に左右されない懐の深さが強みだと思っています。

今作でも基本的快楽原則に忠実なビートと程良いアシッド感や中〜高音帯の響きの良さは抜群で、自宅に居ながらにして十分な高揚感を得られます。

Daphni名義の久しぶりの新作、ダンスミュージックっていいもんだなぁと改めて感じさせてくれる作品です。

 

 

-48-

The Callous Daoboys

Celebrity Therapist

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狂気とインテリジェンスを兼ね備える異能集団。

"情緒不安定なThe Dillinger Escape Plan"とでも申しましょうか、急カーブで展開が変化し続け先が読めません。

ロディックさにも拘りがありそうで、影響元を超えていこうとする意欲と勢いがあり今後が楽しみなバンドです。

 

 

-47-

Penza Penza

Neanderthal Rock

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エストニア発のディープアシッド・ファンクマシーン。

この音楽を前では知能など無用の長物、人間の遺伝子レベルに組み込まれている"踊る"という行為に身を任せてしまえばいいのです。

ひたすらに繰り返され続ける原始的ファンクナンバー、その圧倒的な呪術グルーヴに打ちのめされる1枚です。

 

 

-46-

Cloakroom

Dissolution Wave

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1stからずっと大好きなCloakroomの新作。

初期はもっとグランジ臭漂う荒々しさでしたが現在はより洗練され、美メロなシューゲイザー+ポストメタルサウンドJesuなどとも比較されているようです。

様々な方向に枝分かれしたオルタナティブ。そのうちのひとつの先端部分にいるのが彼らだと自分は思います。

 

 

-45-

立花秀輝

イクスサックス 立花秀輝 アルトサクソフォーン・ソロ作品集

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渋さ知らズのメンバーによる世紀の奇盤。

ずっと「プスー」とか「スカーッ」とか「プヒ〜」とか鳴ってるアルトサックス特殊演奏集。

かろうじて【音楽】の枠内な気もするが言い切る自信は皆無。実験精神ここに極まれり、といった感じですがお堅い雰囲気はなく笑いあり涙ありの愛くるしい聴き心地です。素敵。

 

 

-44-

Sam Wilkes & Jacob Mann

Perform the Compositions of Sam Wilkes & Jacob Mann

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跳ねるようなアナログシンセの音が気持ちいいジャズ作品。

アンビエントムード満載なリラックス空間ですが、時折見え隠れするNinja Tuneっぽさや実験的エレクトロっぽさがハッと目を覚まさせます。

ジャズファンよりもどちらかというとヒップホップリスナーが好みそうなビートや音色。このトラックにラップをのせたら最高に格好良くなる予感がします。

 

 

-43-

The Kopycat

SWIRL

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オールディーズを奏でるバンコクのバンド1st。

シティポップの源泉でもある50年代の音楽スタイルを大いに参照しつつ、2000年代以降台頭したゆるいインディースタイルの諸先輩方にも気配りを欠かさない。そんな性格の良さが滲み出た優良音楽。

日向の香りがする干したてのシーツにくるまって、ふわふわした気持ちのまま午睡に落ちたくなる柔らかなサウンドです。

 

 

-42-

K2

Hybrid Dub Metal Musik

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過去の未発表曲集とのことですが、いつの年代のものとか関係なくインダストリアル/ハーシュ・ノイズ好きの自分にとっては垂涎モノ。

常時ノイズの豪雨警報が鳴り響く激烈盤。

アルバムアートワークをプリントしたTシャツが欲しいです。

 

 

-41-

The Manakooras

Jungle Of Steel

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モンドミュージックの新星。

ティール・ギターやウクレレを用いて幻想の熱帯地域を創出、ジャングルに迷い込んだ我々探検隊の冒険を彩ります。未開の密林を抜け辿り着いた先は…。

Martin Dennyが世の中に拡散し細野晴臣が憧れたエキゾチックサウンドの遺伝子を継ぐ貴重な存在。Tortoiseあたりと対バンしたら凄く面白そうです。

 

 

-40-

Şatellites

Şatellites

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トルコ発のアナドル・ロックは風に乗り地中海を渡ってイスラエルで幻覚成分を増強。

真正のサイケデリックサウンドから漂うのは凝縮した現地の濃密な香り。

ぬるぬると肌を這いずり周る不可思議グルーヴが気持ち悪いのに、一度キメたらやめられなくて…。

初期のTame ImpalaみたいなM6がやたらとアガります。

 

 

-39-

Tuluum Shimmering

Planet Caravan

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Black Sabbathの名曲を約38分に拡大解釈。

原曲が持つアシッドフォーキーな雰囲気を更に拡張、聴く者によってドローンともアシッド・フォークともアンビエントとも捉えられる多面鏡サウンド

トランスを誘う儀式がスタートし、まるでManuel Göttschingかのような宇宙的展開の中盤で魂が身体から離脱。その後深層心理の奥底へ堕ちていき煩悩が昇華、行き着く先は明鏡止水もしくは賢者タイム

 

 

-38-

Soccer96

Inner Worlds

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新世代ジャズワールドカップの英国代表選手The Comet Is Coming。その爆裂ジャズトリオに所属するShabaka Hutchings以外の2人が作り上げたコズミックサイケ。

ラウンジ・ミュージックとクラウトロックとジャズを折衷したかのようなレトロSFサウンドは大変聴き心地が良く、アシッドな味付けも相まって質の良いインナートリップを楽しめます。

"運営・参加選手全てがトリップしている運動会"のサウンドトラックみたいなM5「Adrenalin」が一際異彩を放ちます。

 

 

-37-

Hey,Ily

Psychokinetic Love Songs

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なんだか物凄く厨二心をくすぐられる作品。

ポストハードコア〜ミッドウェスト・エモ〜パワーポップ成分をメインに、ちょっとハズした感じも込みで欲張り放題好きなもの全部詰め込んだ勢いが"青さ"を感じます。

もしかしたらインターネット成熟時代の初期衝動ってこんな感じなのかも、とか考えたり。

 

 

-36-

Vivisektio

Uusi normaali

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このアルバムがどうとか余計な説明は不要ですね。

ファストな80'sハードコア・パンク最高!!!!!!!!!!!

 

 

-35-

Jack Johnson

Meet The Moonlight

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世知辛い世間に疲れたら、安寧が保たれた音楽世界に逃避。

外界に開かれつつもインドアミュージックとしての側面は決して崩さない、疲れたらいつでも帰ってこれる安心の場所。

Jack Johnsonの音楽はいつだって寄る辺のような存在です。

 

 

-34-

ずっと真夜中でいいのに。

ミラーチューン

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今年のフジロックに行く事を決めたのは"ずとまよ"が観たかったから。初めて目の当たりにしたライブは、大袈裟に言えばP-FunkとEinstürzende Neubautenの合奏かのような編成で鳥肌モノでした。

現状アルバム未収録曲の「ミラーチューン」は"ずとまよ"らしい唯一無二のエレクトロファンク。ポップさ極まるMVも込みで脳内リピート確実です。

 

 

-33-

Sidewalks and Skeletons

Exorcism

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まるで全盛期のCrystal Castlesが蘇ったかのよう。

昨今勢いを増すゴス文化の追い風を受け、非常にニッチなジャンルであったウィッチハウスも再び注目されつつあるようで嬉しい限り。

ホラーな雰囲気漂う地下室の扉をそっと開け、密かな儀式を覗き見て夜な夜な仄暗い情感を胸に抱くのです。

 

 

-32-

Christopher Tin / Royal Philharmonic Orchestra with VOCES8

The Lost Birds

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聖なる光が溢れる天上の音楽。

この世から絶滅していく優美な鳥たちにむけた鎮魂歌。VOCES8の美しく透き通ったハーモニーが、身体の内側を清流の如くきらきらと流れていきます。

ロイヤル・フィル管弦楽団の、ボイスを優しい膜でそっと包み込むのような演奏も実に素晴らしいです。

言葉を用いず音の重なり連なりでイメージを伝えるクラシックという音楽。大空を舞う美しく儚い生命に思いを馳せた名作です。

 

 

-31-

尾丸ポルカ

サイキョウチックポルカ

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VTuberシーンは成熟の季節、まさに百花繚乱とばかりに日夜新たな刺激がアップロードされています。個人的に尾丸ポルカの2021年曲「ぽ」は、昨今インターネット上に同時繁殖しているハッピーハードコアのベストアンサー的解釈でかなり愛聴しています。

「サイキョウチックポルカ」もVTuber〜アニメ・ゲーム〜渋谷系までをも呑み込む良質な楽曲でリピート不可避、作曲者の逮捕という残念なニュースがあったもののポルカ氏(もっといえばホロライブ)の音楽的勢いは加速を続ける、その象徴のような曲だと自分は考えます。

 

 

-30-

Hollie Cook

Happy Hour

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夏の夕暮れに聴くHollie Cookは格別、快楽の園へ誘われます。

ルーツにしっかり根差した高品質なラヴァーズ・ロック、再生ボタンを押したらあとは身を任せて踊るのみ。

The Slits時代の同僚Ari Upもきっと天国でにっこり。

 

 

-29-

Kali Malone

Living Torch

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アンビエント〜エクスペリメンタル〜現代音楽までも横断する現代最高峰の音響作家。今作もシリアスみを極めた荘厳な音響は不変、一過性のインスタントな感覚を味わえるタイプの音楽とは対局に位置する崇高なもの。

響き続けるドローンの奥底から、何かに救いを求めるような切迫した声にならない叫びを聴き取った気がしました。

 

 

-28-

Tim Bernardes

Mil coisas invisíveis

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蜃気楼のようにぼんやりぼやけた亜熱帯の景色、そんな風景が映る夢を見せてくれるブラジルの俊才。

Nick Drakeの儚さを経由しアパラチアン・フォークの柔らかな土の匂いにまで接近、更にMPBマナーであるリズミカルな言葉の乗せ方を融合した心地良き世界。

花びら舞う春の夜や熱波にとろける夏の夜に、新しくて懐かしい音楽を共に。

 

 

-27-

ザ・クロマニヨンズ

シックス・キックス・ロックンロール

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シンプルだがエネルギーに溢れキャッチーなクロマニヨンズの音楽は聴くたび魅力が増大。継続は力なり、熟練のロックンロールは凡百の他を一蹴。

個人的にマーシー曲のファンです。

 

 

-26-

KOFFEE

Gifted

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2022年のダンスホール決定版、新世代レゲエの最適解。

海でのバカンスはもちろん、散歩やお昼寝や隣町へのドライブそして夕飯の支度時にも…あなたのお好みのシチュエーションで極上の心地良さを是非ご堪能ください。

 

 

-25-

ナナヲアカリ

恋愛脳-Aiobahn Remix-

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「ダダダダ天使」は現代のニュースタンダード、

「INTERNET OVERDOSE」は現代のニューアンセム

インターネット音楽界隈の強者同士が邂逅。品質は一級、Aiobahn氏の楽曲アレンジは先鋭的かつフロアフレンドリー、限定的なコラボレーションだけで終わるのは勿体無いと思いませんか。

 

 

-24-

Kula Shaker

1st Congregational Church Of Eternal Love And Free Hugs

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英米問わず実に潔い60'sサイケデリックオマージュの数々。

爆音で歪ませたギターの音色を天に捧げ、あの世に蠢く数々のサイケレジェンド達を我が身に降霊させているかのような多彩かつカラフルな楽曲が並びます。

時代遅れ甚だしいのは百も承知。本人たちが嬉しそうにやってる感じが凄く伝わってくる好盤。

次の来日公演絶対楽しいやつだって確信が持てます。

 

 

-23-

ピーナッツくん

Walk Through the Stars

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ぽんぽこチャンネルで「UFOギャング」聴いたあの瞬間からピーナッツくんが好き。単独とチェキ会、徹底的に抽選ハズれたしVtuberチップス買ってもぽこピー出なかったけれどめげません。作を重ねる毎に深く強くなっていくピーナッツくんが好き。

"Made in さえき それにheart in"にギュッと心を掴まれた。

 

 

-22-

FKA twigs

CAPRISONGS

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個人的にはFKA twigs作品の中で1番好み。

まず『クリムゾンキングの宮殿』みたいなジャケのインパクトが強烈。一度見たら絶対忘れられないし、夢に出てきてうなされそう。

今作は正式なアルバムではなくミックステープということで、比較的リラックスした雰囲気の中自由気ままに多様なメタモルフォーゼを試みており、それが見事にハマっていて魅力的だと思います。

M2「honda」の癖の強さが印象的。

 

 

-21-

King Gizzard & The Lizard Wizard

Omnium Gatherum

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結局やってる本人達が気持ち良くなりたいだけなんだろうな。とにかく最速で気持ち良くなりたいという欲望丸出しな長尺2枚組。

爆音ハードロックを下敷きにサイケデリック・フォーク〜プログレ〜スペースロック〜デザートロックまで、アシッドな重音楽ならなんでもジャムって無理やり一纏めにしちゃえの精神は奇跡的なバランスの独創的世界観を産みます。

リリースペースが落ちないのは本人達の想像的源泉が尽きないからなのか、それとも頭のネジが外れているだけなのか…。

 

 

-20-

FINAL

It Comes To Us All

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美しいものが朽ちていく瞬間をスローモーションで眺めているかのような耽美ノイズのウォールオブサウンド。物語が終盤へ進むにつれて腐敗具合が進行、原型が崩れ曖昧さを増していきます。

Justin K. Broadrick関連は様々な名義によって趣向が多岐に渡りますが、その根っこには"退廃の美学"が横たわっているように思えます。

 

 

-19-

The Saint Johns

Where Do We Go From Here?

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数多く存在するUSインディーフォーク勢の中でもハーモニーの麗しさは天下一品な2人組。

風が緩やかに吹き、さわさわと揺れる木々。時間がゆったり過ぎていく田舎の風景を彩るようなアコースティックサウンドは年代問わず人の心を掴みます。

例えば初期のFleet Foxesのように、聴いた瞬間目の前に情景がぶわっと広がるような…そんな錯覚を覚える作品です。

 

 

-18-

Jack White

Fear Of The Dawn

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真の探究者は表現を限定しません。

アルバム通して異形と言える程の特異なジャンルコラージュですが、破綻寸前でも統一感があるのは《俺の格好良いギター音》という通奏低音があるからだと感じます。

極端なバージョンアップ故に賛否両論ありそうな気がしますが、個人的にはThe White Stripes時代を含めた彼のオールタイムキャリアの中でも相当上位に位置する作品です。

 

 

-17-

Team Mekano

Mekanoworld.Xyz

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自分のガバ初体験は『ROTTERDAM TECHNO IS HARD HARD HARD!!』、そこから当時飛ぶ鳥落とす勢いだったデジタルハードコアに興味が流れた学生時代だったので、昨今のブレイクコア/ハッピーハードコア(更に枝分かれしているとの情報もあり)隆盛は嬉しい限り。

もともとアニメと(エロ)ゲームとの親和性が高いジャンル、インターネットとの親和性は抜群な音楽コンテンツかと思います。

そんな懐かしい事やあれこれを考えつつ、ネットで腐った脳をTeam Mnkanoの高速電気ショックで蘇生したり更に腐らせたりしながら生きてた2022年でした。

 

 

-16-

古川麦

Xìn

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2022年の夏のある日、うだるような暑さからの避暑地となるべく届けられた旅先からの手紙。

都会的なジャズとブラジル音楽、そして涙腺を刺激する美しい旋律。

日本でもなく世界のどの国にもない、古川麦だけが作り出せる架空の国のトラディショナルソングのような趣きです。

 

 

-15-

Pool Kids

Pool Kids

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このバンドの新作、一日千秋の想いでずっと待っていました。待てば海路の日和あり、4年ぶりの新作はエモ/マスロックを基調にオルタナ〜ハードコア〜ドリームポップまで、USインディ総ざらいといった感触の大満足作。

前作で物足りなかった部分は全て解消され全てがスケールアップ、終始エモーショナルなポップソングが力強く流れていき俺の情緒が揺さぶられます。

個人的に現行ガールズエモで1番信頼している存在、益々シーンでの存在感が増しそうな気配がします。

 

 

-14-

Eva LoVullo

Tried To Be Everything

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気怠くて寂しげ、まるで自分一人の為に歌われているかのようなレイドバックした子守唄。

夜静かに、音楽に包まれて一日を振り返ってみたり。

Emilíana Torriniの名盤『Fisherman's Woman』が纏っていたあの雰囲気に再会できます。

 

 

-13-

Soul Glo

Diaspora Problems

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怒りは強大はパワーを生む。

怒りはハードコアパンクを一層強靭なものに変える。

鼓膜が破れる寸前まで、爆音で聴いてこその音楽。

海外メディアでも軒並み絶賛、今年の最重要バンドは噂に違わぬカオスっぷりで全身が総毛立つ感覚を味わいました。

 

 

-12-

Imperial Circus Dead Decadence

殯ー死へ耽る想いは戮辱すら喰らい、彼方の生を愛する為に命を讃えるー。

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日本産同人音楽界の究極生命体、待望の復帰作。

プログレッシブな激烈エクストリームを軸にV系からアニメ・ゲーム音楽まで全てを取り込み破壊し創造する異形の暗黒耽美音楽。

香りたつ腐臭と神秘の景色が同時に炸裂、情報量の多さに思考は霧散。

重厚なヘヴィネスの最大瞬間風速に堪えながら、歯を食いしばって毎日聴いてました。

 

 

-11-

THE PATS PATS

MUSIC NEVER ENDING

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ネオアコ〜アノラック黄金時代の諸バンド群から初期The Cribs、Los Campesinos!あたりに連なるポップなジャングリーサウンドに頬がゆるみます。

作り手の音楽を奏でる事に対するピュアな喜びは聴き手の音楽愛を刺激する、この循環はインディーロックの在り方として理想的。

昨年末のリリースでしたが、年間通して愛聴盤となったのでランクインしました。

 

 

-10-

中西レモン

ひなのいえづと

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オルタナティブ日本民謡。世界中の様々な音楽ジャンルを内包しつつ日本的郷愁へ落とし込むアレンジが素晴らしい。

私は東北育ちですが、東北民謡がこんなにメロディアスで面白いものだとは知りませんでした。

Beirutと並べて聴くのもあり。

 

 

-9-

DEATH CAB FOR CUITE

Asphalt Meadows

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過去の名作群で満足してたまるか、俺たちは2022年に最高傑作を作るんだ!という確固たる意思。DCFC印のたゆたう美メロにラウド成分を増量、結果出来上がったのは現役ロックバンドとして最高の着地点。

自分がロックを初めて聴いた時に感じた高揚と衝動、音楽を聴く事で生じる感情。そんな言葉に出来ないあれこれを今作は思い出させてくれました。

 

 

-8-

Ray Pérez y El Grupo Casabe

Ray Pérez y El Grupo Casabe

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このアルバムを聴いた秋以降サルサの魅力を再確認、Fania All Starsを筆頭にマンボやチャチャチャまで、家にあるラテン関連を引っ張り出しては聴きなおす日々…すっかりラテン耳に変えられてしまいました。

ベネズエラサルサ偉人コンピレーション盤、身体が自然と動きだすダンサブルで熱い演奏は世界遺産レベル。

我が家にとってこの音源は"欠かせないモノ"となりました。

 

 

-7-

YeYe

はみ出て!

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全てが有機的に作用した最高のポップ作品。

誤謬も溶けてなくなる、ものすごい多幸感。

今日は何を聴こうか、迷ったらこの1枚。

実生活でも色んな人に薦めました。

 

 

-6-

Μνήμα

Disciples of Excremental Liturgies

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2022年エクストリーム音楽大賞受賞作品。

Μνήμαは心と身体全てを破壊し尽くし灰にする。

ここが爆心地だ。

 

 

-5-

Father John Misty

Chloë and the Next 20th Century 

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一皮剥けたどころか幾層もの殻を飛び級で突き抜けた、もはやインディ/フォークという狭い枠内に収まりきれない大躍進作。持ち味である優しさ親しみ切なさを大幅にスケールアップ、連綿と続く米国音楽の豊穣なエッセンスを抽出し余裕たっぷり表現した良質な曲たちに感動すら覚えます。

名盤という言葉はこのような作品のためにあるのかもしれません。

 

 

-4-

Pinegrove

11:11

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良い歌を良い状態で届ける事に普及し続けた男Chris Wallaを迎えた事は大正解だったように思えます。

そもそも曲の美しさに定評があったPinegroveがオルタナカントリー色を強めた効果は絶大、端々に漂うJason Molinaのような空気感も相まってアメリカーナの真髄を目指す旅へ向かう彼らのロードムービーのような作品だと感じました。

Pinegroveのライブをもし今観れたら…それはきっと自分にとって特別な経験になりそうな気がするのです。

 

 

-3-

Elvis Costello & The imposters

The Boy Named If

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安打製造機コステロおじさん、久しぶりの場外特大ホームラン。

M1「Farewell,OK」で若かりし頃のパンキッシュな姿を思い浮かべて泣き、最終曲「Mr.Crescent」で長い月日を重ねたからこそ滲み出せる"渋み"と"豊かさ"でまた泣く。

Elvis Costelloの代表作と言えば『This Year's Model』や『Spike』と答えるのが定石ですが、今作はそれら名作たちに並ぶ程の大充実作かと思います。

キャリア総集編といった塩梅の本作、コステロ入門編としても最適だと思います。

 

 

-2-

舐達麻

BLUE IN BEATS

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待望。

静かに、ゆるやかに、だが確実に心を青く燃やす。

彼らの"1曲"はフルアルバム1枚分の価値がある、常々そう思っています。

紫烟が静脈にゆき渡る舐達麻の新曲というサプライズ、また来年も新曲を聴くことができるよう祈っています。

 

 

-1-

Sobs

Air Guitar

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ここ数年はシンガポールインディーシーンに夢中です。

昨年のSubsonic Eye、今年のSobsで予感は確信に変わりました。

ギターポップとはどういうものか、という問いに対する明確な答えがこのアルバムの中にはあります。

もし、万が一、この先自分の中でインディーロックが信じられなくなる時が来たとしても、この作品を聴き直せばきっと気持ちはあの頃に戻る事が出来る気がする。

信じたいものを信じ続ける為の道標のような存在、大袈裟にいってそんな感じです。

 

 

 

以上、迷う事なく決定した2022年の年間ベストでした。